
6軸スコア
作品の個性を6方向から可視化する独自指標。SweetScore(総合点)では見えない強みと弱みが分かります。
攻略のポイント
作品の基本構造を把握する
月影のシミュラクル -解放の羽- は、あっぷりけが2017年に発売した和風伝奇ノベル「月影のシミュラクル」のSteam全年齢版に、追加要素を加えてミドルプライス帯で再構築した約束を果たす純愛ADVである。元はPC・スマホ向けに無料で先行公開された全年齢シナリオを土台に、約3倍のボリュームを足した形であり、萌えゲーアワード2017の話題賞金賞を受賞した経緯を持つ。舞台は「伊沢」と呼ばれる軽井沢を思わせる山間の旧家町で、分家として呼ばれた主人公が本家・如月家に伝わる「生き人形」と「蜘蛛神」の因習に巻き込まれていく。攻略可能ヒロインは零・紅・一葉・美優の4名だが、実質的に物語の中心となるのは零と紅の2人で、一葉と美優はTRUE ENDへ向かう過程で通過する補助ルートに近い構造になっている。プレイ時間は普通に読み進めて7時間前後、AUTO併用で15時間ほどが目安で、シナリオは短めだがBAD ENDを含む10以上のエンディングが用意されているため、周回前提で組まれている点をまず押さえておきたい。
推奨プレイ順とフローチャートの使い方
本作の最大の特徴は、「最初の周は意図的に消化不良で終わる」設計になっていることである。1周目では森で死んでいる人物の死因、誠一が持つ能力の出所、紅が主人公に執着する理由など、いくつもの伏線が回収されないまま幕を閉じる。ここで投げずに進めることが攻略の最初のコツになる。エンディングを1つ見るたびに作中の選択肢が新規追加・拡張されていく解放型シナリオなので、見たBAD ENDや個別ENDが多いほど次周で選べる分岐が増えていく仕組みである。
具体的な進め方は次の通り。
- 1周目は選択肢に深く悩まず、初期分岐のまま素直に最初のEDに到達する
- フローチャート画面を開き、未読の分岐点へ直接ジャンプして別の選択肢を選ぶ
- 一葉・美優ルートを早めに通すと、零・紅ルートに必要な情報が解放される
- 零ルートのENDを見た後に、ようやく真相に踏み込む最終ルートへの選択肢が開く
- TRUE ENDは全エンディング閲覧の流れの先にあるため、BAD ENDも積極的に踏みに行く
シナリオ構成上、選択肢ごとに細かくセーブデータを量産するより、フローチャートのジャンプ機能とスキップを使って最初から流し直すほうが結果的に速い。実績コンプも全EDを見れば自然に揃うため、攻略チャートを別途用意する必要はほぼない。
ヒロイン別の立ち位置と注意点
- 零: 物語の核を担うメインヒロインで、生き人形と蜘蛛神の因習に直結する存在。序盤の冷たさから徐々に表情を変えていく過程が本作の見どころで、彼女のルートを抜けて初めて伊沢で起きていることの輪郭が見えてくる
- 紅: 攻略可能ヒロインだが、本人の能力と過去ゆえに序盤から異常な距離感で主人公に接近してくる。一葉・美優ルートで断片的に提示される「紅が主人公を追い求める理由」は、後半ルートまで進めないと明かされない
- 一葉: 幼馴染寄りのポジションで、独自ENDは存在するもののTRUE ENDへ至る通過点として配置されている。彼女個人の物語というよりは、主人公が伊沢の異常に気づくための視点役として機能する
- 美優: ルート単体の比重がもっとも軽く、Hシーン削除版では恋人化の経緯がまるごと飛ばされて唐突に関係が成立してしまう。本筋への干渉も小さく、サブキャラの忍のほうが印象に残るという声が出るほど。TRUE ENDのための踏み台と割り切ってプレイするのが楽
如月家側のキャラでは、復讐に取り憑かれた如月当主と、それと対になる位置に立つ忍が物語の鬱屈した空気を支えている。忍の立ち回りが本作の暗さを底上げしているという指摘は複数のレビューで一致しており、攻略対象外ながら彼の動向は注視しておきたい。
TRUE ENDへの到達と物語の解像度を上げるポイント
TRUE ENDに向かう過程で押さえておきたいのは、「逃避行END」と呼ばれる方向性のエンディング群である。如月家の因習から逃れて主人公とヒロインが伊沢を離れる結末はレビューでも言及が多く、ここに到達するには零ルートの一定段階を経た後に開く新規選択肢を選ぶ必要がある。
物語の解像度を上げるためのチェックポイントは以下の通り。
- 1周目で残った謎(森の死体、誠一の能力、紅の執着)はメモしておく
- 一葉・美優ENDで提示される断片情報を、零・紅ルートの会話と突き合わせる
- 屋敷の背景CGや「ソトノセカイ」などのBGMが切り替わるタイミングは伏線回収の合図になっていることが多い
- OPテーマと挿入歌の歌詞は終盤の展開を踏まえて聞き直すと印象が変わる
- 最終ルートのご都合的に見える展開は、序盤に散らされた小さな描写を拾うと納得できる構造になっている
「すべての物事には背後に意味がある」というレビューの一文が示すとおり、本作は無数の小さな伏線を後から噛み合わせていくタイプの構成なので、最低でも2周分は通しておくことが推奨される。
Steam版固有の事情とパッチ運用
本作をSteam版で進めるうえで最大の注意点が、あっぷりけ公式が配布している18禁パッチの挙動である。パッチ自体はSteam版用に提供されているが、適用すると一部シーン・一部ルートの本編テキストまで中国語に置き換わる仕様で、特に最終ルートに近いエンディングでは終わるまで日本語に戻らない区間が存在する。ボイスは日本語のままだが、画面の文字が読めなくなることで物語の重要な転換点を取りこぼす危険がある。
実際の運用方針としては、レビュー内で次のような使い分けが共有されている。
- 全年齢シナリオを安定して読みたい場合: パッチを適用せずプレイ。ただし主人公とヒロインの関係が深まる経緯が一部省略され、推測で補う場面が出る
- 18禁シーンとCGも全て解放したい場合: パッチを適用し、中国語化する区間だけCtrl送りで飛ばす運用にする
- 完全な日本語で18禁込みを通したい場合: Steam版ではなくDLsiteかFANZAの通常版を選ぶ
ストーリー重視で買うなら、Steam版+パッチなしで進め、どうしても気になる箇所だけ後からパッチを当てるのが最もトラブルが少ない。逆に18禁が目的の場合、Steam版は推奨されないと考えて差し支えない。なお流血表現は本編に普通に含まれるため、グロ耐性が低い場合は別の意味で注意が必要だが、ホラー寄りの怖さは抑えめで、屋敷の背景CGの不気味さがピークと感じる声が多い。
UI・周回まわりの実用テクニック
あっぷりけ作品共通の強みであるUI周りは本作でも健在で、ストレスなく周回できる作り込みになっている。長時間の読み返しに向く設定を最初に整えておくと、TRUE ENDまでの所要時間がかなり短縮できる。
- フローチャートからの直接ジャンプ機能を多用し、未読分岐を上から潰す
- 既読スキップ速度を最速側に寄せ、選択肢直前で自動停止する設定をONにする
- AUTOモードはトレカドロップの放置にちょうど良い速度に設定可能
- スクリーンショットのデフォルトキーがバックログのショートカットと衝突する場合があるため、撮影派は最初にキー割り当てを変えておく
- 立ち絵に自由テキストを乗せて表示する機能があり、感想メモや伏線整理に流用できる
セーブスロットを大量に使う設計ではないので、各ルートの冒頭と分岐直前に2〜3個確保しておけば十分回せる。シナリオが短めでもエンディング数が多い構造上、フローチャート機能を使いこなせるかどうかが体感ボリュームを大きく左右する。
購入判断の基準
価格は通常3,980円のミドルクラスで、Steamのセール時には500円前後まで落ちることもあるため、急がないならセール待ちで構わない。逆に、和風伝奇という題材と複数END解放型の構成に強く惹かれる場合は通常価格でも作りの密度に対しては妥当である。一葉・美優ルートの薄さや、Steam版特有のパッチ問題を踏まえても、零・紅・忍が絡む本筋の完成度は高く、「記憶に残る名作」ではなく「丁寧に作られた良作」というポジションに収まる作品である。
補足
- ジャンル: 和風伝奇 / ビジュアルノベル / 約束を果たす純愛ADV
- 発売: 2019年Steam版(原作は2017年あっぷりけ)
- パブリッシャー: HIKARI FIELD(Steam版配給)
- 攻略ヒロイン: 零・紅・一葉・美優の4名(中心は零と紅)
- プレイ時間目安: 7時間前後(AUTO併用で15時間程度)
- エンディング数: BAD END含む10以上の解放型シナリオ
- 元が18禁作品のため、Steam版は18禁シーンを削除した全年齢仕様
- 公式18禁パッチ適用時は一部ルート・一部シーンが中国語表記になる仕様に注意
- 18禁完全版を日本語で遊びたい場合はDLsite版・FANZA版が候補
- 流血表現あり、ホラー要素は控えめ
- フローチャート機能とジャンプスキップが優秀で、周回プレイの負担は軽い
- セールでの値引き率が大きく、安価で確保しやすい一本
プラットフォーム別評価
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